ライブの所感を書き留めました。
駄文ですがご容赦ください。
1.UNGEZIEFER
UNGEZIEFER氏は全身黒ずくめの衣装でステージに登場。
Roland MC-307をメイン機に、インダストリアルなリズミックノイズを展開。
序盤のアトモスフィックな音は、桜台poolの音響にマッチしていて非常に良かった。
終盤よりハンマーで打ち鳴らしていた、金属製のカゴを改造し自作した楽器は、視覚的にも楽しめた。
2.FACIALMESS
mini-KPのループ音やジョイスティック型オシレータなどの計4つのINより音を出力し、ハーシュなカットアップノイズを構築。
スカッとする爆音で、格好良い。途中に、JR中央線の電車が閉まる時の様子を録音したSEを流していた。あれは何だったのだろう。
やや尺が短い気もしたが、少し物足りないくらいで丁度いいのかもしれない。
3.LINEKRAFT
今回は桜台poolの地の利を活かし、大型スクリーンに映像を投影しながらの演奏だった。
湾岸工業地帯やコンテナ、蒸気機関車の映像がモノクロで淡々と投影されている様子は非常にマッチしていたと思う。
ドラム缶のパーカッションにディレイをかけ、打撃音を上手く反響させてリズムを刻むのには驚いた。
個人的にハイライトは、サイレン音が飛び交う中でスティックを砕け飛ぶほどブッ叩いた瞬間だろうか。
たった1人でこの世界観を作り上げるのは、本当に恐れ入る。
4.Erehwon
中盤まではほぼ演奏をせず、映像のBGMに合わせて吊り下げられた金属板を擦ったり叩いたりする程度であった。
映像の内容はとかく強烈で、水爆実験の光景から戦車、ミサイル、粉塵、爆発、更には2014年2月のウクライナ騒乱。
市民が凶弾に倒れもがく様子や、アジテーショナルなメッセージを写し、観客の想像力を働きかける。
この映像を視聴し、dave phillipsを彷彿とした。彼と異なるのは、反原発といったポリティカルなテーマを明確に主張をしている点だろうか。
その後は反原発デモの音声をバックに、放射性廃棄物用ドラム缶を叩くパフォーマンスを展開。
最後はドラム缶の上に置かれたガイガーカウンターの警告音がピーピー鳴り続け、終了。
5.浦邊雅祥
浦邊雅祥氏のパフォーマンスは、徐ろに開始された。短い鉄パイプをコンクリの床に落とし、擦り付け。
チェーンを首と脚立に巻き付けて、鉄パイプで脚立を叩いたり、身体を移動し脚立を引き摺ったりする。ほぼ自傷行為に等しい。
それからアルトサックスを手に取り、演奏が開始された。汗だくのまま地団駄を踏み、時おり呻き声をあげ、全身を使用して渾身の力でアルトサックスを吹く。
壮絶である。間の取り方を非常に意識しているように見受けられ、まるで雅楽のようであった。
6.HovH (GRIM + VASILISK)
まず桑原氏はMTRとミキサーを操作し、スクリーンに投影された映像に合わせるようにインダストリアルダンスミュージックを再生。
そして電子ドラムを叩き、リズムを刻んでゆく。電子ドラムより連打されるタムは、ゴルジェのよう。
その後、小長谷氏が登場し、ホーミーのように声を上げて観客席を練り歩いていく。
スクリーンに「welcome to white hospital」の文字が刻まれた事や、小長谷氏の手首に白い包帯が巻きつけられていた点など、
HovHというよりはWhite Hospitalとしてのステージを意識していたように見受けられた。
観客のテンションも次第に上がっていき、踊り狂う人もチラホラ散見される中、絶叫しながら小長谷氏らはステージを後にする。
この点は近年のGRIMのライブと一緒か。出演者が不在のまま映像は再生。
「everything you know is wrong..」「it is as it was..」の不穏なメッセージが刻まれ、ライブは終了した。
今回の企画では、桜台poolの広大なコンクリ打ちの空間が出演者に相性良くマッチしていたのではないかなと思う。
全体として、非常に満足できる企画だった。